保険関係豆知識

 

1)個人賠償特約でも賃貸物件の修理が出来るのでは?

「個人賠償特約」という特約も、賃貸用の火災保険によく付帯されている特約です。この特約では、自分の過失によって他人のモノを壊したり、他人に怪我をさせてしまった時に修理代や治療費などを支払うことが出来ます。

 

じゃあ、賃貸物件を壊してしまった時にも、個人賠償特約が使えるのでは?と思いますよね。しかしこれは間違い。

 

保険上、私が借りている部屋は、一時的に私が所有しているのに近いもの(私の管理下にあるもの)と見なされます。自分の管理下にあるものを自分で傷つけてしまった場合は、自分のモノを自分で壊してしまったのと同じとなり、賠償事故(他人のモノを壊した事故)に当たりません。なので、個人賠償特約は使えないのです。

 

ちなみに、「個人賠償特約」では自転車に乗っていて人にぶつかり、怪我をさせてしまった時などにも使えます。ひとつ入っておくと、同居の家族全員の賠償事故が補償されますので、何かと安心です。自動車保険の特約などにもありますので、どこかでひとつ加入しておくと良いですね。

 

2)賃貸用火災保険は、不動産屋さん指定のものでないとダメなの?

結論から言うと、どこの火災保険に入っても構いません。大抵の方は、不動産屋さんで言われたものに入ると思いますが、「私はこの保険に入りたい!」と言うものがあれば、それに自分で加入することが出来ます。

 

「ウチの指定のでないとダメですよ」と言う不動産屋さんがたまにおられますが、現在では、保険業法で強制はしてはいけないことになっています。

 

ただし、「個人賠償と借家人賠償は保険金額◯◯円以上掛けて下さいね」とか指定されると思いますので、それには従いましょう。また、加入していることを証明するため、保険証券のコピーなどの提出を求められることがあります。

 

3)上階からの漏水で冷蔵庫が壊れた。誰が直すの?

上階からの漏水が上階の住人のミスの場合(例えばお風呂にお水を溜めてて忘れてた)は上階の人に責任があります。漏水の原因が建物設備にある場合、管理不行き届きということで大家さんに責任があります。

 

しかし、いずれの場合でも、「水濡れ」補償が付いていれば、自分の火災保険で冷蔵庫を修理することが可能です。

 

上階の人や大家さんの保険(賠償保険)で直すと、時価払いになってしまいますので、修理出来ないような古い冷蔵庫だと、買い換え費用が出ない可能性があります。が、自分の火災保険なら、「新価実損払い」であることがほとんどなので、修理不能の場合には、同じサイズの冷蔵庫を買えるだけの保険金が支払われます。

 

賠償金をもらって不足分は自分の火災保険に請求することも可能なようですが、手間なので自分の火災保険で直してしまった方が早いです。賃貸用火災保険は自動車保険と違い、保険を使ったから来年は保険料が上がる、ということはありません。

 

こうした事故が起きた場合は、保険会社に事故報告をし、壊れた冷蔵庫の写真を撮り、電気屋さんに見てもらって、修理見積もり(全損の場合は、修理不能の証明書)を作成してもらい、提出しましょう。

 

 

4)火災保険って、使うこと無くない?

入居時の決まりなので、賃貸用火災保険に入るけれども、使ったことは一度もない…。そんな人が95%くらいを占めるとは思いますが、例えばこんなことがあったら、火災保険の出番です。

 

賃貸用火災保険は、基本的には自分の持ち物(家財)に対する火災保険です。家財が事故で壊れた場合に使用することができます。

 

▼落雷で電化製品が壊れた

火災保険は、「火災・爆発・破裂・落雷」が基本ですから、必ず「落雷」補償はどんな火災保険にもついています。落雷で自分の所有の電化製品が全てダメになるといった事故は、火災事故などに比べて起こりやすいと思います。落雷が原因の時はすぐに連絡しましょう。

 

▼掃除しててテレビを倒して壊した

「破汚損」または「不測かつ突発的な事故」という名称の補償がついている場合は、家電や家具を倒したり、落としたりして壊した場合にも使用出来ます。私も一度テレビを倒して壊したことがありますが、知識がなかったので、請求しませんでした…。残念。

 

ちなみに家財の場合、免責1万円、限度額が1事故につき30万円という条件がついているものが多いです。

 

3)被害事故弁護士特約はオススメ

全ての賃貸用火災保険の特約にある訳ではないのですが、「被害事故弁護士特約」が付けられる場合は、付けておくと安心です。

 

「被害事故弁護士特約」とは、例えば「近所の犬に噛まれて怪我をしたのに、治療費が支払われない」など対人・対物事故のトラブルがあった際に、弁護士に相談する費用を補償してくれます(大抵300万円限度)。

 

ここでのポイントは「被害事故」であること。保険契約者が被害者である場合に限ります。保険契約者に過失のある事故の弁護士費用は支払い対象にはなりません。

 

思いも寄らぬトラブルに巻き込まれた時、弁護士さんに相談する費用を出してくれるというのは、心強いですね。この特約は、自動車保険や、持ち家用の火災保険の特約にもあります。

 

4)地震保険がセットされていないことが多い

地震が原因の火災や破損は、地震保険でないと補償されません。しかし、賃貸用家財保険は、地震保険がセットされていないものが多いです。地震が心配な方はこの点必ずチェックしましょう。

 

ただし、地震保険は、家財保険の保険金額の半分までしか入ることができません(例えば家財300万円なら家財地震は150万円)。また、地震の多い地方や、地震による被害が大きいと予想される建物(木造)は、保険料がかなり高くなることがあります。

 

賃貸物件は他人から借りているものです。傷をつけないよう、決まりを守って暮らすことが第一ですが、誰にも失敗はあります。万が一傷をつけてしまった場合は、先ずはご自分の加入している火災保険の保険会社に相談してみて下さい。

 

こういうことを知っていると、賃貸生活も少し気楽になりますね。